尼崎JR事故、最近の報道に思うこと。

尼崎JR事故が発生してから、約10日経過しました。最近のTVニュース番組、新聞などを通したマスコミ報道に関して思うことがあり、書かずにはいられない衝動に駆られました。

事故の被害者の方々には心からお悔やみ申し上げます。また、残念にもお亡くなりになられた多くの方々には、ご冥福をお祈りします。なお、この意見はJR西日本を擁護するものでありません。

以前(4月27日)にも書きましたが、今回の事故の根本原因は必ず突き止めなければいけません。また、その根本原因は個人(今回の事故の場合には運転士)に対するものではなく、組織(JR西日本)の風潮や考え方に対するものなるはずです。
直接的な原因は運転士がスピードを出したままカーブに突入したことですが、運転士にそのような行動を駆り立てさせた根本的な原因は、JR西日本による日勤教育、売り上げ重視、ダイヤ優先によるプレッシャーということが突き止められてきました。

しかし、ここ数日間に報道されている

  • 事故車両に同乗していた他の運転士に関する報道
  • 別の地区で行われていたボーリング大会とその後の宴会に関する報道
  • 相次ぐオーバーラン、それによるダイヤ遅延に関する報道

という件に関しては、マスコミが間違った方向に向かっているのではないかと心配になっています。

それは、JR西日本による運転士へのプレッシャーなどが根本的な原因であることがわかってきたので、これからはそれをどのように改善していけばいいのかということを議論することが次の重要なステップなのではないかと考えるからです。例えば、海外の鉄道会社での安全面やメンタル面のフォローや運転士の待遇などを取材し報道するとかといったことが、マスコミの理想像ではないでしょうか。

しかし、最近の報道はJR西日本のあら探しをしているというようにしか感じられず、その内容は視聴率を狙ったものであり、何のために&誰のために報道しているのか理解できません。これがトップニュースでしかも多くの間を割いてまで方法しなければならないものか、もっと本質に迫った報道はできないのか、最近のニュース番組を見るとそういった怒りに近い感情が込み上げてきます。
特に「オーバーランやそれによるダイヤの遅れ」に関する報道は、これまで以上に鉄道会社に対して正確なダイヤを要求するプレッシャーになっているのではないだろうか。今の報道がエスカレートしていくことによって、ますます鉄道各社のダイヤ優先姿勢が強くなってしまい、ますます運転士への精神的なプレッシャーが増し、第2の事故が発生してしまうのではないかと心配です。

今回の事故での被害者の方々のため、また、今後同じような事故が起こらないようにするためにも、是非とも前向きな姿勢で実のある報道を行って欲しいものです。

おそらくJR西日本の幹部は記者会見の対応だけで相当な時間を使っているはずです。それも、言い訳・言い方などを考えに考え抜かなければならないから。本当はそんなことをしている時間があるのであれば、幹部自らが現場を点検し対策を考えて欲しいです。