暗号化 プライバシーを救った反乱者たち

"暗号"っていうのは最近でこそセキュリティとともに一般的になってきたが、一昔前まではオタクな言葉だったと思う。
僕も10年位前に"暗号、セキュリティの仕事"っていうと、『スパイ?』みたいなことを言われたこともあった。そんな暗号やセキュリティが歩んできた歴史みたいなものが本書で理解できると思うので面白いと思う。
ただ、前半はいろんな暗号が生み出されていく様が生き生きと描かれているのに対し、後半は政治的な駆け引きの様子ばかりになるので、ちょっとだらしなくなる。前半はどんどんと読み進めるし、このまま一気に読んでしまうのがもったいないと思うくらいだったから、ちょっと残念。
★★★☆☆

暗号化 プライバシーを救った反乱者たち

暗号化 プライバシーを救った反乱者たち

それにしても、"クリッパーチップ"とか"鍵預託(キー・エスクロー)"って懐かしい言葉だった。久しぶりに聞いたって感じ。まさにこのときに僕たちはキー・エクスローに替わるキー・リカバリー(鍵回復)のシステムを一生懸命に考えていたものだ。懐かしい。
今ではすでにDESも脆弱な暗号になっているし、SHA1すら脆弱と言われている。つい5年位前までは強い暗号と思われていたものが、一瞬のうちに弱いものと化してしまう。将来にわたって安全であることを保障すること、証明することは不可能だから、どんどんと新しいものを考えていかなければならないところがこの世界の面白いところかもしれない。といっても、僕はアルゴリズム屋さんではないので、アルゴリズムをどう使うかというところが専門なのだが。