桶川ストーカー殺人事件―遺言

今まで読んでいなかったことを後悔する本はいくつかあるが、この本もそうしたもの。


1996年に起きた『桶川ストーカー殺人事件』である。
埼玉県警が被害者のストーカーの訴えに真面目に対応せずに、殺害されてしまった。
これをキッカケにストーカー防止法が成立することになった。
というのが、私が知っていたことであったが...。


実態はこんなに単純なものではなかったのだ。
被害者の方が受けていた被害は、全然"ストーカー"というレベルのものではなかった。
さらに、埼玉県警、上尾警察署の不祥事隠しは予想以上に悪質なものだった。
いざという時に警察は味方になってくれないと、誰を頼ればいいのか。
いろいろな不祥事が後を絶たない警察の体質は根っこの部分では全く変わっていないと思う。


自分も娘を持つ親として、被害者自身、親御さん、ご家族のことを思うと、最後は涙するシーンもあった。
必読。教科書に載せてもいいくらい。


★★★★★


桶川ストーカー殺人事件―遺言 (新潮文庫)

桶川ストーカー殺人事件―遺言 (新潮文庫)