東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜

奥さんが読んでいたけど僕はあまり興味がなかった。TVドラマ化ということで最近話題になっているらしいということは知っていたし、ちょうど読む本を探していたこともあって家にあったこの本を昨日夜から読み始めた。
★★★★☆

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~

今日は土曜日だったこともあって一気に読んでしまった。読み終えるころには、涙が出てきた...。
僕はあまり映画や本では泣いたことがない。どこかで第三者的に冷めた目線で無機質に冷静に見ている自分がいるようで、感情的になることは少なかった。でも、なんなんだろう...。年齢も割りと近いせいか、すごく自分と重ねる部分が多く、共感してしまった。
すごく普通の話なんだよな。本当に普通。
昔の子供のときはこんな感じだった。僕も今になって思えば、貧乏な家で育ったけど、親にはいろいろと経験させてもらったと思う。うちのオカンも自分のことにはお金を使わずに、僕たちに服を買ってくれたり、おいしいものを食べさせてくれた。そういう面では恵まれた生活をしていたのではないだろうか。
でも、それも今になって思えばこそのことである。子供のときには全然感じなかったことが、今となっては痛いくらいに感じるのだ。
自分自身、もうすぐ36歳になる。18歳で大学への進学を機会に家を出た。それからは就職して結婚して家族ができ、自分の家も建てた。両親と過ごした高校生までの時間と、大学から家を出て暮らした時間がちょうど同じくらいになったのだ。これからはどんどんとその時間が逆転していく。
僕自身、子供を授かって父親になって初めて親の大変さとありがたみがわかるようになった。自分の親にもすごく感謝している。かといって、自分の親には面と向かってそんなことは恥ずかしく言葉にすることはできない。逆に、言葉にしてしまうとすごく安っぽくて嘘っぽくなってしまいそうな気がして嫌だ。父親とも母親とも普段からあまり会うこともないし、会ってもほとんど話することはない。でも、失ってからではもうどうしようもできなくなってしまう。心の中では思っていることだけど、いつかはちゃんと顔を見て『ありがとう』って伝えておかないといけないな。後悔することがないように。