世間的には何を今更ということなのでしょうが、文句なしの最高傑作。
これまで読んでいなかったことが恥ずかしいくらい...。
★★★★★
- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2001/05/01
- メディア: 文庫
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39歳の杉田平介。妻と娘が乗ったバスが転落事故を起こしてしまう。
妻、直子は死んでしまう。その直子が守った小学5年生の娘の藻奈美は奇跡的に無傷で助かる。
しかし、藻奈美の心は直子だった。直子の肉体が死んで、藻奈美の心が死んだ。
ファンタジーのようなものかと思って読み進めると痛い目にあった。
そもそもこの杉田平介39歳と娘、藻奈美の小学5年生というのは我が家の家族にあまりにも近い。
ある日、突然、事故が起きて体は娘で心は妻だったら...。完璧に僕は平介に感情移入しながら読み進めることができた。
高校生になった娘にストーカーのように執拗に監視しようとする平介には呆れるところもあるが、僕だったらどうするだろうとか考えさせられる。
いつしかすれ違っていく。そして、心に藻奈美が現れ始め、いつしか直子は消えていく。この下りは非常に悲しい。
心が直子の藻奈美を"秘密"にして過ごしていた。
しかし、それが藻奈美の結婚式のとき別のもっと大きな"秘密"があったことに...。
同年代、同じ年の娘には感情移入しないわけがない。直子が藻奈美の心から消えていくところは涙なしでは読めない。