数学の世界の難問『ポアンカレ予想』を証明したグリーゴーリー・ペレルマンの話。
本書では『ポアンカレ予想』がどんなものかということは、本当に簡単にしか語られていない。
正直、僕にとってもそんな専門的なことは分からなくてもよい。
それよりも、グリーゴーリー・ペレルマンという天才がどのように育てられたのかという環境について、非常に濃く語られている。
ソビエト連邦という閉鎖的な国で、しかもユダヤ人というマイノリティというハンディを背負った少年が、
数学の天才学者に育てられていくところは非常に興味深いものがあった。
そして、少年からの環境を前提にして純粋に育てられた彼は、『ポアンカレ予想』という世紀の難題を解決したにも関わらず、
いかなる賞・賞金の受け取りを拒否して、数学の世界から消えてしまう。
普通には考えにくいことではあるが、なぜ彼がそういう行動をとってしまったのか、
本書を読むとそういう人格に育てられたバックグラウンドが理解できると思う。
難しい数学のことは分からなくても、数学の世界にちょっと触れられる良書だった。
★★★★☆
- 作者: マーシャ・ガッセン,青木薫
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2009/11/12
- メディア: ハードカバー
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