小説・震災後

「こんな時だけど、そろそろ未来の話をしようか」
この言葉は非常に心に残るものがありました。
震災・福島原発事故の直後は、原因・犯人探し、責任の押し付け合いと過去ばかり振り返っていた。
このような状況下においても、子供たちには明るい未来を示してあげなければいけないなんて
思ってもいなかったかも。


僕は東日本大震災福島原発事故の影響をあまり受けない北陸の地に住んでいる。
だから、地震による直接の被害や放射能に対する恐怖はあまり感じていない。


主人公の野田のように、不謹慎で被災地の方には申し訳ないけど、
やっぱり自分たちだけは助かりたいという思いは、多くの人たちの正直な気持ちだったと思う。
ただ、それを声に出して言うかどうかだけが、人としての道徳的な違いではないだろうか。


最近の被災地のガレキ受け入れ問題でも、被災地の復興のことを考えずに、
自分たちのことだけを考えて、「ガレキの放射能が心配」と言って反対する人たちの神経が信じられない。
将来、その自分たちが被災してしまったときに、誰かに助けてもらわなければいけないのではないか。
今の自分、自分の家族のことだけを考えた主義主張は非常に浅ましいし、日本人として恥ずかしい。


今回の震災・事故は、日本中の子供たちの未来には大きな影響があるはず。
僕達、大人が暗くなることなく、新しい未来を託せることを考えてあげたい。


★★★★☆

小説・震災後 (小学館文庫)

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