「平成版『砂の器』誕生!」、「2012年ミステリーベスト1 早くも決定」という帯。
確実に言いすぎだと思うが、本屋で平積みにされたこの帯に釣られてしまった。
あまり期待しなかったが、読み始めたら止まれない。面白かった。
『震える牛』はそのまま狂牛病(BSE)を指しているのだけど、
狂牛病よりも日本のデフレ社会、過激な安値競争、大手量販店による地方都市の衰退と、
今の日本の元気がない一側面をしっかりと問題視しているものだと思う。
私の住む街(地方都市)も同じである。
近所の国道沿いには全国チェーンのショッピングセンター、家電量販店、ファストフード店、パチンコ店が立ち並ぶ。
何の特色もない景色であり、スナップショットを撮ってみると、そこがどこであるかはわからない。
「街の顔が見えない」、「地方が壊れる」という本書内の言葉は心にしみた。
犯罪小説・ミステリーとしても、個人的には面白かった。
ネタバレになるので、詳しくは書かないが、正義が負け後味悪そうな終わり方に思えたが、
ちょっと挽回しそうな雰囲気で結ばれている。
しかし、「平成版『砂の器』」は言いすぎではないか。
それとも私が『砂の器』の本質を理解していないのだろうか。
もう一度、『砂の器』を読み直してみることにしたい。
★★★★☆
- 作者: 相場英雄
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2012/01/31
- メディア: 単行本
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