一九八四年

様々な文献などの作品に引用されていることから、“ビッグブラザー”が示す存在はなんとなくわかった気になっていた。
しかし、それが描かれている本書『1984年』を読んだことがなかった。
(読んだことがある人は実は少ないんじゃないだろうか。)


先日読んだスノーデン氏を描いだ『暴露』や、スティーブ・ジョブズの映画にも登場したこともあって、
一般教養として、この作品はちゃんと読んでおかなければいけないと思い立った。


1940年代に描かれた1984年の世界では、すべての行動や思考が監視され、支配されている。
家族や恋人さえも信じられない密告者になりうり、一部の上流階級者がその権力を維持するために
経済の生産性を落とし、無益な戦争を続けるという、なんとも暗い世界だ。


1984年から30年後の現在(2014年)でもそこまでには至っていないと思いたいが、
ジョージ・オーウェルが想像できなかったインターネットが登場することで、
人々の記憶や歴史をコントロールすることは難しくなっている。


しかし、インターネットへの依存によってNSAによる世界中の情報監視しやすくなったはずだし、
SNS等を意図的に悪用することで世論をコントールしやすくなったはずだ。


つまりは、意外とジョージ・オーウェルが描いた世界の本質は間違っていないのではないかと思ってしまう。
いろいろと考えさせられる作品だった。


★★★★★


一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)