海賊とよばれた男

今更の説明は不要だと思うが、出光興産を創設された出光佐三氏をモデルにした小説である。


日本人として太平洋戦争の前後を考えさせられるものがあり、非常に面白い。
正直に世の中のことだけを考えて行動していれば、必ず報わるというところは、ビジネスマンにとっての心の支えになるのではないだろうか。


ただ、やはり小説なのである。
出光佐三氏も小説の中では国岡鐵造氏とされており、史実とフィクションの境目がわからない。
概ね史実に基づいているんだろうとは思われるが、アメリカや他の石油会社、政府官僚は悪者として描かれており、正直にそのまま受け入れるのは難しいと思う。


なぜ名前や社名を変えて、“小説”という形にしなければならなかったのかはわからないが、
これはちゃんとしたノン・フィクションとして読みたかった。


★★★★☆