この本はヤバイ!!!!。
読んでしまうのがすごく勿体なく感じてしまったんだけど、どんどんと読み進めたいという欲求に駆られて一気に読んでしまった。
内容、ストーリ展開ともにすごく良い出来。恐らく僕のこれまでの人生の中で読んだ本の中でもトップ10には入るという感じ。
間違いなく、★★★★★。
- 作者: サイモンシン,Simon Singh,青木薫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2001/07/31
- メディア: 単行本
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昔から暗号は僕の仕事の基礎となっている技術だった。
今のようにコンピュータ・セキュリティがビジネスにならなかった時代(セキュリティだけでは何かを産み出すわけではないからそれにお金を出すところは少なかった)から、暗号技術を礎としたソフトウェアの研究と開発を行ってきた。ファイル暗号製品だけでなく、認証関連(PKIやSingle Sign-Onなど)の製品も開発してきた。
昔はまだまだ暗号っていうとコアな世界だった。だから、僕たちは暗号アルゴリズムを直接使って製品に実装していたのだ。だから、暗号アルゴリズムについても理解してなくてはならなかったし、そんなコアな技術を使ったり、自分で設計/応用するところが面白かった。
今では暗号アルゴリズムの基本がわかっていなくても、認証や暗号を行うことができるようになった。親切なミドルウェアが揃ってきたし、何やら難しいことがわかっていなくても開発できる時代。しかし、それによってどこに脆弱性の弱点ができるのかを理解せずに暗号技術を使っている人たちが多いのではと危惧している。例えば、データを暗号化することだけしか考えていないから、本当に大事な部分となる鍵管理が煩雑(そもそも鍵が決まっていたりして...)になっていることもある。これはどうやって暗号は解読されるのかということをちゃんと理解していないということだと思う。
暗号の必要性や、暗号の利用方法をちゃんと理解するためには、暗号がどうやって解読されるのかということを理解する必要がある。
僕自身がしばらく忘れていたそんな基礎的なことを本書は思い出させてくれた。もう一度、原点に戻って考えることができそうな感じがしてきた。
また、個人的には第二次世界大戦ですごく大きな役割を果たしたとして知られている"エニグマ暗号機"については昔から興味があった。エニグマ暗号機についてはこれまでは何やら難しい暗号器械という程度しか知らなかったが、本書を読んでどんな原理だったのか、人々はどうやって解読しようとしたのかがわかってすごく面白かった。これまで見てきたエニグマ関連の映画と辻褄が合ってきて、ようやく少し理解できたような気になった。
- 出版社/メーカー: 東芝デジタルフロンティア
- 発売日: 2003/10/25
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こんなにこの本にはまったのは単にテーマが僕に合っていただけでなく、著者 Simon Singhによる巧みなストーリ展開や、技術だけでなく社会的なバックグランドのみごとな描写によるものが大きいと思う。
しばらくの間はSimon Singhにはまりそう。