松本清張。戦後の日本で起きた数々の怪事件を氏なりの推理をまじえて考察したもの。
これらの事件は闇の中に葬り去られているのだが、戦後の数年間に渡ってマッカーサー率いるGHQがいかに傍若無人な振る舞いをしていたのかが容易にわかる。確かに戦争に負けてしまった日本ではあったので、米国に何をされようとも致し方なかったのかもしれない。ただ、僕達はこのような事実を全然知ることはなかったことに、大きなショックを受けた。僕達は小さなころから米国に憧れて育ってきた。米国の自由で華やかな生活がうらやましかったし、日本の町中に英語があふれているし。こんな暴挙が戦後の日本で行われ、日本が侮辱されていたことを知らなかったのか...。
当時の状況としては、今のイラクと似ているかもしれない。戦争に勝利した米国がイラクを復興しようとしている。しかし、イラクの人たちは50年後に米国を尊敬しているだろうか? 米国の言いなりになっているだろうか?
日本は米国の州の1つとよく揶揄されているが、まさにそうなのかもしれない。
日本人としてのアイデンティティを失くした起源はここにあったのではないかと思う。
★★★★☆
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