墜落遺体

日航ジャンボ機墜落事故での遺体身元確認の警察側の責任者を務めた方の実録。
う〜ん、なんかもうすごいとか言いようがないのだ。絶対に文章だけでは伝えることのできないものだと思う。この本を読んで僕達が想像することよりも、もっともっととんでもなく壮絶な現場だったんだと思う。どんなことが起きていたのかは想像できない。ただ、非日常的で常軌を逸したものだったことだけはわかる。
遺体の回収だけではなく、その遺体から身元を調べていくこと。たんなる事故ではなく墜落事故なだけにほとんどの遺体は人間としての面影がないもだったのだろう。物体を洗って、ほぐして、皮をひっぱると体の皮膚が形なるということなど、まったくわからない...。そんな現場に一瞬だけいるだけでも相当のショックを受けるだろうが、そこに何日、何十日と通って仕事を全うした警察官、医師、看護士の方々はものすごいと思う。人としてすごい。
でも、そういった人たちは今はちゃんと生活できているのだろうか? 少しでもそんな非現実的な経験をした後には、人間は立ち直ることができるのか、何を思って生活していくのかが心配だ。事故による直接の犠牲者の方々だけではなく、このような形で事故に関わった人たちのケアができていたのかも気になるところ。
★★★★★

墜落遺体 御巣鷹山の日航機123便 (講談社+α文庫)

墜落遺体 御巣鷹山の日航機123便 (講談社+α文庫)