名ばかり管理職

NHKの”クローズアップ現代”も”NHKスペシャル”も見ていなかったけど、この”名ばかり管理職”については気にしていた。

本書に書かれているが、"管理職"としての条件は3つ。

  1. 「経営と一体的な立場で、企業の経営方針に関わる重い権限が与えられている」
  2. 「労働時間を管理されず、出勤や退勤の時間を自分で決められる」
  3. 「一般社員より報酬が高く、管理職にふさわしい待遇を得ている」

一般的な企業ではハイアラーキーな組織構造では課長や部長レベルでは経営方針に関わることは難しいのではないだろうか?
経営方針は取締役会レベルで決められ、部長・課長レベルはそれを実現するための歯車の1つ。
普通の部長・課長では"管理職"ではないのかも...。


それにしても、就職難を逆手にとった悪質な企業の人件費削減対策がとんでもない。
若い人が無理やりにでも"管理職"という冠をかぶせられる大手コンビニチェーンやファミリーレストラン・チェーンの店長さん達は本当に大変だと思う。


と、一つの側面からだけ問題を捉えていないところが本書の良いところ。
”名ばかり”ではなく、実質的にも管理職としてキチンとした仕事をしてきたのに行政(労働基準監督署)から”名ばかり”であり指導を受けてしまったケースについても問題を提起している。そのために、コンプライアンスのために会社が管理職を外してしまい、管理職としてのプライドを傷つけられてしまったということ。
これは行政側がきちんとしたものの見方をできていないという問題があるのだと思う。


これはいろいろと考えさせられることになりそう...。

★★★★☆

名ばかり管理職 (生活人新書)

名ばかり管理職 (生活人新書)