空飛ぶタイヤ

文庫本の上・下で約900ページあるが、この土日に一気に読みきった。


『本書はフィクションであり、実在の場所・団体・個人等とは一切関係ありません。』
と最後に明記されてはいるものの、
本書の題材は2004年の三菱自動車による“リコール隠し”事件である。


"三菱"を"ホープ"と読み替えてはいるものの、財閥系の大企業グループで三菱商事東京三菱UFJ銀行三菱自動車がぴったりと当てはまる構図となっている。
そして、本書の全体を通しては下のような対立構造で話が展開されている。

  • 大企業 VS 中小企業
  • 銀行(お金を貸してくれる方) VS 会社(借りる方)
  • 警察(国家権力) VS 庶民

このように権力者が弱いものいじめして、弱者が正義のために立ち向かうという構図は、僕ら庶民には非常にわかりやすく、感情移入もしやすいのではないだろうか。


それにしても、このように三菱自動車リコール隠し事件は5年が経過しているにも関わらず、終わることがない大事件であり、
企業のイメージダウンはいつまでも続くものになることには改めて痛感した。
(『沈まぬ太陽』にJALがイメージダウンするというのと同じく。)


僕も正直に仕事に励まなければならない。
まさか三菱自動車が著者に営業妨害だと逆切れするわけにもいかないだろうから...。


今年読んだ本の中では最高は間違いナシ。
初めて6星をつけてみた。

★★★★★  ★


空飛ぶタイヤ(上) (講談社文庫)

空飛ぶタイヤ(上) (講談社文庫)


空飛ぶタイヤ(下) (講談社文庫)

空飛ぶタイヤ(下) (講談社文庫)


池井戸潤さんかぁ〜。
今度は池井戸さんの作品に暫くはハマってみようかと思う。