民王

池井戸潤氏の最新単行本。
民主党のゴタゴタ、菅首相の誕生と、タイミングのよいときだった。


本の帯に『痛快エンタメ政治小説!』とある。
まさにエンターテイメントなストーリだと思う。ただただ面白い。


漢字を読めない首相や酩酊演説をした大臣。
実はこれは脳が入れ替わった子供の仕業だったという実に何とも皮肉な内容。
確かに頭のいい先生達のすることではないけどね。


単にふざけた展開だけでもない。
政治の本質を論じるよりも、議員のスキャンダルやプライベートを大いに袋叩きにするマスコミ、
そのマスコミにいちいち踊らされている国民、
理念に反していることを認識しつつ利益追求に走る企業に対して
本書では気持ちよくしかりつけてくれている。


多少、青臭いところはあるが、池井戸潤さんの読後感の気持ちよさは本作品でも際立っていた。


「誰にだって間違いはある。オトナになろうぜ、みんな」って言い放つ総理大臣が出てきたら世の中も面白くなりそうだ。


★★★★☆

民王

民王