文明崩壊

地球規模の環境問題を考える本。
人類の文明がどのようにして失敗して滅びていったのか。同じ環境に文明を築きながらも、滅びてしまった国、生きながらえている国。


今更ながらに自分の周りの環境についていろいろと考えさせられる内容だった。上下巻セットで、かなりのボリュームがあり、内容も濃いものなので、読み終わるまでにすごく時間がかかってしまったが、それだけの時間をかけるに値するくらいすばらしい内容だったと思う。


最近では、アメリカ西海岸で発生した大規模な山火事。なぜ最近、このような大規模山火事が頻発し、鎮火が難しいのか、世界中の砂漠化、人口爆発による環境破壊など、非常に参考になる。

本書の中では日本のその森林の多さから成功例として取り上げられている。
しかし、日本の森林の実態も成功しているわけではないはず。昭和の戦後に行われた植林政策によって、日本中の広葉樹の自然林を多く切り倒し、杉や檜などの針葉樹に植え替えられた。その森林が保水力を低下させ、台風や大雨の際の地崩れなどの災害の原因になっていることは言うまでもない。こんなことは日本でも何十年も前からわかっていたこと(僕が子供のときから知っていた問題)。
これだって、政府が後先を考えずに経済成長のためだけに推し進めた政策、その政策の補助金に踊らされた国民が原因だ。
当時は何も心配なんかしていなかったんだろうなぁと思うけど、今から考えれば何てバカなことを国中総出でしてしまったものかと情けなくもなる。


結局は地球上で一番の環境破壊の原因は僕たち人間であること。人間がこれまで浅はかでその場しのぎの思いつき、将来のこと・他人のことを考えずに近視眼的かつ自己中心的な考えだけで、生活してきたつけが今や世界中に影響し、もう取り返しのつかないところまで来ている。
『今の自分が幸せだから』という理由だけで、資源の乱獲や開発を行っていては結局は自分たちにその罰が降りかかってくるのにそんなことは後の祭りなのだ。


僕たち一般庶民がこんな壮大な問題を真剣に心配して何かできるのかというと、ほとんど何もできないだろう。僕にはそんな影響力も立場もないんだし。
しかし、そうやって諦めていてはダメなんだろうなぁ〜。
これまでの僕たちだって環境問題を知りながらも、『これくらいは大丈夫』、『僕だけは大丈夫』と思って生きてきて、世界中のそういったことが積もり積もってこんなにどうしようもない結果になっているんだから。
だから、一人一人が少しずつしか行動し改善できなくても、地球規模で考えると、とてつもなく大きな良い結果を生み出すはずだ。


こんな風に、とんでもなく大きなことを真剣に考えければならないと思わせられる。良書に巡り合えたものだ。
一時的にこう考えるんじゃなくって、僕も地球のこと・人類のことを考えて、生活していきたい。
★★★★★

文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (上)

文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (上)

文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (下)

文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (下)