野生の証明

森村誠一氏の"証明"シリーズ3部作の3番目。
面白かったけど、ちょっと疲れた。もうこれで"証明"シリーズはお腹一杯という感じです。


これも70年代の作品なのだが、どこか21世紀の現代と通じるところがあるのが不思議なのだ。
この本の冒頭に発生する大量殺人事件は、確かに30年も前だったら、考えられないくらいにとんでもない出来事だっただろう。
しかし、先日の秋葉原無差別殺人事件のように今の時代はそこそこ起きてしまう。


本書では"エルウィニア菌"というもので、人間の脳が狂ってしまうことを原因としていた。
これは普通の人間が大量殺人事件を起こすことはできないだろうという前提があってのことだと思う。
でも、今は全然狂っていない人間が残酷な大量殺人を犯してしまうのだ。


世の中全体が狂ってしまっているのかもしれない。
こんな現代を示唆しているかのような"証明"シリーズ3部作は非常に面白かった。

★★★★☆

野性の証明 (角川文庫)

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