月に響く笛 耐震偽装

この前の休みに7軒ものの本屋さんを回ってようやく手にいれた本。これは苦労して手に入れた甲斐があった。
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月に響く笛 耐震偽装

月に響く笛 耐震偽装

イーホームズ社長 藤田東吾氏が書いた耐震偽装問題に関する告白本。
僕たちがいかにして行政・マスメディアに騙されていたのかがわかる。ただし、この本は本問題に当事者でもある藤田東吾氏が主観的に思いっきり気持ちを込めて書かれているので、これがすべて真実かどうかはわからない。しかし、これまでマスメディアでは報道されてこなかったたくさんの事実を知ることができる。時が過ぎ、今ではもう耐震偽装問題のことは世間からは大きな話題ではなくなってしまったが、そういった事実を知ることができるという点では大変意義ある本だと思う。
こんな国も検察もマスメディアも信用できない世の中では、真実が何であるかは僕たち自身が客観的に判断しなければならないと思う。この本の内容を100%信じるかどうかは読者次第だ。でも、本書を読むと問題が公表された当時からの貫かれた藤田氏の主張は今になってようやく理解できる。
ただ、この本の内容は読みにくいことは確か。記述が時系列にはなっておらず、藤田氏の回想が随所に入り、話があっちに行ったりこっちに来たりする。また誤字脱字、変換ミスも多い。もともとは文藝春秋社から出版される予定だったが、アパの件を削除するように圧力がかかり出版できなくなり、藤田氏の自費出版となったとのこと。だから編集がちゃんとされていないのだろう。しかし、そういったところが逆にバイアスされていない生の声であることが伝わってくる。それにしても、文藝春秋社の件が事実であれば出版社としての正義は失っているんだろうな。残念だ。

また、本書を読み終わった後に、当時の参考人招致の模様を見直してみると、事件の周りがよくわかると思う。(下記のサイトから参考人招致の模様をみることができる。)

国会の場で、国交省役人が発表した内容の間違いを正そうとする藤田氏、すでに問題発覚当時から悪者を姉歯氏・木村建設ヒューザーイーホームズに決めて誘導するかのような質問を繰り返す国会議員たち。いろいろな事実を正しく報道せず、誰かに都合のよい世論に導いたマスメディアには本当に腹が立つ。そのマスメディアに踊らされて、イーホームズは本問題の中では悪者の一人であると理解していた僕自身にも腹が立つ。
本書は是非多くの方に読んでいただきたい。僕たちが知らなかったたくさんのバックグランドを知ってもらいたい。そして、僕たちはこうやってマスメディアに騙されているんだということを認識し、メディアに世論を操作されないようにしっかりしなければならないと考えていかなければならない。



ちなみに僕みたいに本屋を探し回るという事態になる前にちゃんと下のWebサイトで取り扱い店を確認した方がよい。このサイトは買ってからわかったもの...。

最近、読書感想文ブログになってきた...。
本当はもっといろんなことを考えて書きたいのになぁ〜。