自らの身は顧みず

航空幕僚長の田母神氏の論文問題がニュースになったときには、氏が小松基地に在籍していたこと、事の発端の論文の主催者が金沢地元のアパグループだったということもあって、僕はあまりよく考えずに悪いイメージを持っていた。

テレビや新聞の報道によって、政府見解と違うことを航空幕僚長という政府の立場の人間が書いたということだけに対して、僕もそれによくないことだろうと思っていた。


でも、田母神氏のこともよく知らないし、田母神氏が書いたという論文の中身も全く知らない状態だった。
僕は、田母神氏が何を主張したのかということをはっきりと理解しないままに、氏に悪いイメージを持ってしまっていたのである。
はっきり言って、またまたメディアに騙されてしまっていた。
メディアが話題性が高い部分、攻撃できる部分だけの映像を切り取って繋ぎ合わせて、テレビ・新聞で垂れ流す。
政府もこの超低支持率の中ではすんなり誤る、トカゲの尻尾でも切ることしかできない。


この年末年始に、田母神氏は毎日のようにテレビに出演し、自分の主張を訴えていた。
どの番組でも同じ主張をし、同じジョークを言っていた。


そんな氏の考え方をしっかりと自分で理解したいと思い、本書を読んだのだ。

  • 日本は決して極悪非道な侵略国家ではなかったということ。
    確かに歴史的に見ると、アメリカやヨーロッパ諸国が行ってきた東南アジアの植民地化や、アフリカで行われた奴隷狩りなどは、非常に極悪非道な行為だった。
  • 愛国心。戦後の日本人が受けてきた教育で、自分の国、日本をどうして悪く教え込まなければならないのか。
    日本は、中国や韓国に遠慮しすぎ。自国の主張をしっかりとすべき。
  • 日本を守るため、日本が世界の一員として活躍するためにも、自衛隊は"軍隊"としての役割を果たさせるように環境を整えるべき。
    これは僕も賛成。いつも憲法九条を無理矢理な解釈を行うくらいなら、憲法を改正してスッキリすべきだ。

本書を通して田母神氏の言いたいこととして感じたことは、非常にしっかりとした筋が通って、愛国心に満ちていて正しいということ。
でも、航空幕僚長という立場で、この論文を書いたことには、やはりちょっとやりすぎた感は受けた。


田母神氏が言わんとしていることは非常に正しく、僕も賛成できるのだが、当時の彼の立場としてはもっと慎重になっておくべきではなかったのかというのが率直な感想。


しかし、全編を通して、日本人として日本の国を愛すること、そして日本を守り、今後も平和を維持していくために自衛隊の方々に期待しなければならないことは十分に理解できた。
本書を読めば、そういうことをいろんな人が感じると思う。

★★★★★

自らの身は顧みず

自らの身は顧みず