オウム帝国の正体

今年読んだ本は今年のうちに感想文を書いておきたい。
一橋文哉氏の三億円事件宮崎勤事件の著書がよかったので、オウム事件に関する本書を読んでみたのだったのだが...。


オウムに関する一連の事件の経緯や背景などが一橋文哉氏の深い取材力によって描かれることを期待していたのだが、そういう大局的な内容とはなったいなかった。期待していただけに残念なところ。
著者も書かれているとおり、一連のオウム事件をそんな総合的な内容で記そうとすると2冊や3冊というレベルではおさまらない多さなのはわかる。しかし、本書ではいくつかの事件(坂本弁護士一家殺害事件、国松警察庁長官狙撃事件、村井刺殺事件)だけが取り上げられていること、そして"オウムの正体"というよりも"オウムのバックにいた人たちの予想"という感じがしてならなかった。


しかし、やはり中身の濃い取材によってオウムと警察、政治、北朝鮮との黒い関わりを解明しようとしているところは興味深く読むことができた。
この内容のどこまでが本物でどこからが想像なのかが疑問となるところではあるが、冒頭の警察組織の女性スキャンダルがオウムに繋がっていくところまで驚きでもある。
★★★☆☆

オウム帝国の正体 (新潮文庫)

オウム帝国の正体 (新潮文庫)