731―石井四郎と細菌戦部隊の闇を暴く

悪魔の飽食』を読んでから、"七三一部隊"のことには興味が続いている。

特に我が母校である金沢大学の医学部が七三一部隊にとって非常に重要な舞台だったこと、さらに、満州から引き揚げてきた七三一部隊が金沢に身を潜めたということが、自分(金沢大学卒&金沢市民)にとって興味を持たざるを得ない部分である。


本書は、細菌部隊の非人道的な行為に焦点を当てたものではない。
石井四郎という個人と、終戦後のGHQと石井四郎の取引、米ソの冷戦下での七三一部隊が不当に獲得した研究成果の横取り合戦という部分にフォーカスしている。
これも新しい視点だったので、非常に面白く読むことができた。


七三一部隊が実施した行為の非人道的な残虐さは『悪魔の飽食』の方が、非常に生々しく伝えていると思う。
悪魔の飽食』について本当にノンフィクションなのかどうかと物議があるようだが、残虐な部分についての表現は凄まじい。

悪魔の飽食』シリーズの中では、満州から引きあがけていた七三一部隊は、卯辰山ふもとの小坂神社に身を隠したということでったが、本書では金沢の野間神社に仮の本部を設置したとある。しかし、地理的に野間神社は平地にあり、あまり身を隠すことには適している場所ではないのではないかと思う。
小坂神社の方がその雰囲気にぴったりと合っているのかだ、果たして真実はどうなのだろうか?

コメントでご指摘をいただきました。
「続・悪魔の飽食」に『小坂町の野間神社』と書かれていました。
私が誤って『小坂神社』と勘違いしてしまいました。
申し訳ありません。訂正してお詫びします。



米国は、この七三一部隊が捕虜を実験とし、非人道的な行為の上に実施し獲得した莫大な研究結果データと病理標本を、当時の貨幣で25万円で入手したらしい。その後の、この標本がどこに行ったのかは行方不明なのだ。

この時期はGHQマッカーサーが日本の天皇の上に君臨していた、非常にとんでもないことが起きていた時代なのだ。
本書を読んでも、やっぱり、戦後のGHQ(米国)の黒い部分だけが、深く心に残ることになった。


★★★☆☆

731―石井四郎と細菌戦部隊の闇を暴く (新潮文庫)

731―石井四郎と細菌戦部隊の闇を暴く (新潮文庫)


ここで、『東京裁判』についてちゃんと勉強しようという気になってきた。
第二次世界大戦という史上最も大きな戦争を裁いた東京裁判は単なる茶番劇だったのだろうか...。