限界自治 夕張検証

少し前の読売新聞朝刊に連日のように本書の広告が載っていた。
しつこいくらいに。
本書は『読売新聞 北海道支社 夕張支局』がまとめたものであるから読売新聞に連日のように広告が掲載されるのは当然なのだが、なんとなく気になったので買って読んでみた。


夕張問題。
これまで地方自治体が財政破綻して再建団体になるっていうのはどこかピンとこなかった。
それは日本国自体がそうであるように、自治体なんて赤字になっていて、借金が膨らんでいるのは日本中どこでも当たり前のことと思っていたところがあったからだと思う。


でも、実はそうでもないということ。
こういう無駄なことがあまりにもヒドイようであれば、自治体自身にも跳ね返ってくるんだということは、ちゃんと理解しておかなければならない。


まぁ、本書を読むと、破綻の原因がよぉく理解できる。

  • 一番の原因は中田元市長。絶対君主であるように勘違いしたかのような行動。
  • その中田元市長の元で文句もろくにいえずにヌクヌクと働いていた市役所職員、第三セクター社員。
  • その自治体からのお金をもらって儲けていた民間企業。
  • 生活の主体を自治体に委ねてしまって、自分たちでは何もできなくなってしまっていた夕張市民。

このように、破綻したことは夕張に関わった全員の責任なのだ。
誰か一人が悪いために一つの地方自治体が破綻するなどということはあり得ないと思う。


残念ながら、今は公務員の人たちは非常に風当たりが強い時代だと思う。
でも、こういう事実を真摯に受け止めて、対岸の火事などと思わずに、国民のために仕事をしてほしい。

★★★★☆

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